シルクの豆知識

一、シルクの特性

 1、光沢と色彩

  シルクの光沢はよく真珠にたとえられる。真珠は、核の周囲に極めて薄いたんぱく質の層が、長い時間をかけて累積されて出来上がり、これに光があたると、波長によって表面で反射するもの、内部まで透過してから各層で反射するものとが干渉して、気品のある光沢を生み出す。シルクの光沢も、蚕が繊維を作り出す過程でできるフィブロイン蛋白の層状構造な微細構造(フィブリル構造)が生み出している。また、シルク(フィブロイン)の大小さまざまな三角断面によるプリズム効果が絹の光沢を一層美しい物としている。

  また、シルクの美しさは、染め上がりの美しさにある。しるくは、いろいろな染料に容易に美しく染まり、繊細な図柄を鮮やかに染め分けることができる。

  それは、シルクが蛋白質繊維であり、結晶性部分と、染料の入りやすい非結晶性部分とか程よく混り合い、そこに染料に染まり易いいろいろな活性基が分布し、h沢山の染着座位がある為である。また、繊維が底屈折率の為、繊維内部からの反射光が表面を透過して鮮明度の高い発色となる。

 2、風合いとドレープ性

  風合いとは、主として触って見たときの触感による感応的な織物の品質評価である。

  通常、織物に使われる風合いの表現は、ぬめり(弾力のある滑らかさ)、しゃり(シャリシャリした硬い感じ)、腰(反撥力、弾性のある充実感)、張り(張る感じ、曲げ剛さが強く関係)、ふくらみ(あたたか味のある厚み感)などの主観的評価である。

  シルクの風合いは、洗練織物(さきねりおりもの)と後練織物(あとねりおりもの)では、繊維組織が異なるので、地合いは全く異なってくる。また、同じ平織でも撚りを施さない生糸を使った羽二重(はぶたえ)と、強い撚糸を使った縮緬(ちりめん)やグレープとは別の感触が得られるように、絹織物の風合いは非常に多様であるが、あらゆる衣料素材の中で、シルクは最も風合いに富むものとされている。

 ①、柔らかくて腰がある

  シルクは、天然繊維のうちで、最も細く、長い繊維である。そのため柔らかな織物でも薄い織物でも自由につくることができる。蚕が繭をつくるときS字形に糸を吐くので、これが繊維に細かなうねりを与える。また、自然の生産物である為、太さや形が微妙に異なる繊維が集まっているので、弾力のある膨らみとなって、柔らかな手触り、暖かな肌さわりを作り出している。

  更に、シルクは極めて弾力のある繊維(ヤング率が高い)で、小さな変形に対して大きな抵抗を示すため、柔らかさの中に腰、張りのある織物を作り出している。シルクの着物が着崩れしないこと、ネクタイや帯の締め具合が良いことなどはこれらの特性による。

 ②、トレープが美しい

  ドレープとは、主として織物の曲げ剛さと織物自体の重さによって作られる垂れ下がり具合の美しさである。これは織物のしなやかさ、腰などと深い関係を持ち、糸使い、織り方によってもひだのでき方、その他線、身体への馴染み具合が異なってくる。シルクの織物が多様なドレープ性を示すのは、繊維の細かさ、弾性などを上手く織物に活かしている為である。

 ③、軽やかで暖かい

  シルクを来た人は異口同音に「軽くて」「暖かい」といる。保温性の良い織物は、熱伝導度の小さい繊維で作られることが必要であるが、繊維より空気の熱伝導度の方がはるかに小さいので、繊維の中に細かな空気の室が沢山有るような織物が暖かさを感ずる。しかも、外から力が加わってもぺしゃんこに変形すること無く、何時までも厚さを保つ(圧縮弾性が大きい)ことが必要である。

  シルクの織物は、天然の絹繊維の集合であり、単調な化学繊維の織物ではできない気室が沢山あり、含気量が大きいので熱を伝えにくい。これにシルクの織物の柔らかさが体への馴染み易さもあって、軽やかで、薄くても暖かな製品を作り出している。

 3、引っ張り強さと伸び

  細かい糸を用いた薄い織物が多いことからシルクは弱いように思われるが、引っ張り強度は1デニールあたりほぼ3.5gで天然繊維の中では羊毛や綿よりも大きく、今日存在する繊維の中では、強靭な方である。また、伸び(切断伸度)もほぼ20%で、衣料素材としては好ましい値を示す。

 4、吸湿性・透湿性

  織物をしばらく握っていると、感じのあまり変わらないものと、手の温もりで、しっとりとして来る物とがある。それは織物を構成する繊維の吸湿性の差異によるもので、吸湿性の大きい天然繊維は前者である。

  人体からは1日ほぼ1リットルの水分が発散されている。衣服には、この水分を吸収して外気に放出する機能、すなわち透湿性(通気性)が、着用時の快適さと保健衛生上必要であり、通気性の良い布の構造と吸湿性のよい繊維が望ましく、織物でも、吸湿性と透湿性を高めることが必要である。

  天然繊維の中でも絹は綿の1.3~1.5倍の吸水性があり、放湿性も綿に遜色ない特長を持っている。要するに、絹は吸湿性が優れていて放湿速度が大きく、衣服内に余分な湿気が残留しない為、着心地が良い。

  また、吸湿性の大きい素材の衣服は、身体に対する外界の温湿度変化の影響を緩和する作用も兼ねている。

   5、黄変と脆化

        シルクは長期保存や日光にあたると黄変・脆化する特徴がある。この問題は古くからその改善が進められてきたが、蛋白質繊維やナイロンなどペプチッド繊維の課題となっている。逆に紫外線防止衣料、すなわちUVカット機能くぉ有する衣料として評価する意見もある。このような黄変を避けるには、洗濯に中性洗剤を使う、水洗いを十分に行う、直接日光や紫外線を避ける。アイロン掛けは低温で行う、低湿度の暗い場所に保管するなど、取る扱い上の注意によってある程度黄変を緩和することができる。なお最近、紫外線吸収剤を用いた加工方法が開発され、黄変防止に有効であることが報告されている。この効果はドライクリーニングでは殆ど変化しないが、水洗いでは効果が失われる。

    6、難燃性

      絹は、衣料用繊維の中で最も燃えにくい。合成繊維は200℃前後で分解、溶融、燃焼し、有毒ガスを発生する。更に肌に付着し大火傷に遭う場合もある。これに対し、絹は、300~400℃にならないと燃えず、燃えても有毒ガスは発生しない。また、溶融しないので、肌から簡単に離はくする非常に安全度の高い繊維である。

     7、紫外線カット性

      絹フィブロインの紫外線吸収スペクトルをみると280nm付近に吸収極大値が現れ、220~280nmにも強い吸収が見られる。前者はチロシンなどのアミノ酸に、後者はペプチド結語によるものとされ、シルク製品を身に着けた場合、人体に有害なUV-B・Cが吸収されて、透過量が減少する。このように紫外線を吸収して、透過させない比率をカット率といい、シルクの紫外線カット率は90%前後と、ウールと並んで極めて高い数値を示すとの報告がある。なお、このカット率は黒色など色の濃い衣服が高く、白い物は低い。

     8、抗菌性その他

   ①抗菌性

  シルク製品は抗菌性を有すると言われている。現時点でその効果は未だ十分に明らかにされていないが、家蚕の笹繭や野蚕の天蚕などでは顕著な抗菌性が確認されている。これはセリシンに含まれるフラボノール色素の存在によるもので、精錬過程で完全にセリシンを除去せず、製品にある程度色素を残した製品の開発が進められている。

    ②抗酸化性

  シルクは抗酸化機能を有することが知られている。これは人の健康との関わりの深い活性酸素の働きを抑えるもので、様々な病気や老化予防・アトピー性皮膚炎への効果などが期待されている。

    ③物質吸収性

  絹フィブロインは結晶領域と非結晶領域とよりなり、分子内には豊富な活性基が存在しているので、優れた物質吸収性を持っている。例えば、ガス吸着性ではアンモニア・エチレンなどに顕著で食品の鮮度保持に効果が認められ、ビスフェノールA(環境ホルモン)も吸着するなど、他の衣料素材に見られない優れた機能を有することも明らかにされている。また、金属吸着性も強く、この性質は銅イオンを吸収させて抗菌性付与に利用することが考えられ、スズを吸着させる増量加工は古くから実用化している。

二、シルク素材の種類

  シルクは原料となる繭(まゆ)を作る蚕(さん)の種類や、それから織・編み物の原糸とする為の糸の製造法、糸の加工法、染織法などの違いによって、様々な種類に区別されている。これらのシルクは種類別に固有の特徴を持ち、様々な用途に供されているが、商品の原料素材名は全て「絹」又は「シルク」と表示されているので、シルク製品を扱う場合には種類別の特徴を理解して置くことが大切である。ここではカイコの種類と糸の製造法による区別について説明する。なお、糸ではないが、末尾に近年需要が増大しつつあるシルクパウダーについても付記する。

     1、蚕の種類による分類

    ①家蚕糸

  クワを食べて育つカサンガ科のカイコの繭から作った糸で、現在世界各国で生産されているシルク製品の大部分はこの糸によるものである。

  カイコの原産は中国大陸であるが、世界各地に広まった後、長い年月を経て、自然環境下または人工的に淘汰され、地域別に性状の異なる様々な蚕品種が出来上がった。現在、最も多く普及している品種は遺伝形質の異なる品種を交配した1代雑種(後記)の白繭で、繭の糸が細くて長く、解れの良い物が選べれている。この糸の製品はしなやかで美しく、着心地が良いことから、フォーマルウエアからカジュアル製品まで、幅広い用途に供えされている。

    ②野蚕糸

  名前の通り、お家で育ってるではなく、山や並木に自然に生息するカイコ、原産国はタイやインド、繭の色は金色、糸は太い硬い、製品として限られている。

三、シルク素材衣服用分類

 1、衣服に、素材は大別れ2種類があります:

  ①、シルク布帛※a

  シルク布帛素材の中に、長糸と短糸分かれいます、長糸は繭の特級、一級から出る糸、光沢が綺麗、価値あり値も高い、短糸はそれの反対です。

 

  シルク布帛の生地は匁(もんめ)※bで品からきりまで測られてます、勿論匁高ければ絹糸をよく使った為、価値あり値段も高い。現段階よく使われている匁数は6~48匁です。

  またシルク布帛生地の織かたによって120種類ぐらいがあります、それに従って、それぞれ適合する服製品を作ります。たとえ:シルクデッシン、ジャカード、Wシフォン、強撚シルクは大体12~20匁、ブラウスやスカートに適し、少々伸縮性があって、長い糸で織ってあるため丈夫です。生地を染めた時点で処理したっら、水で洗っても皺になりにくいです。

  シフォンシルク大体6~12匁、生地薄く、透け感が有ります、沢山糸を使ってないため、洗うと皺になりやすく、取扱いはアイロンが要ります。但し、飄逸感は魅力的で、夏の服にふさわしい、日よけや冷房よけに最適です。同じ季節ならシルクオーガンジも良いです。シルクオーガジは透き通る織り方で、薄くてハリがあり、高級感溢れて、夏のサマージャケット、サマーコート、スカートにふさわしい。

  また、ピーチシルクもあります。ピーチシルクと言うのは、手触りは桃の皮ようで、マット感があり、ストーンウォッシュをしてあるため生地が軟らかい、匁数は大体29~34ぐらい、丈夫で皺なりにくく、ジャケット、コート、スカート、パンツにふさわしい。

  そのほかはよく使われているシルク楊柳(皺織)、シルクシャンタン(紬織)等。シルク楊柳は織皺ですので、洗っても皺が消えない為、伸び縮みよく、シルクお好きの方から好かれてます。シルクシャンタンの織り方は粗っぽいに見えますが、実は繊細、程よい光沢とハリで、高級感が演出できます。但し、弾力が無い為、裂けやすい欠点もある、コート、ワンピース、ジャケット(必ず裏地付)に適してます。

  それ以外はふじシルクや、シルク紬とかは、繭のごく短い糸を再利用して織った生地ですが、長持ちしない、シルクの天然光沢と肌触り感がなく、水に入れると硬くなり、皺になりやすい、いろんな不備が多いので、敬遠されてる生地です。但し、シルクの成分が変らないと手ごろな価格、使われてるところもあります。

 ②、シルクニット織

  シルクニットの中に、又丸編みと横編み2種類があります。丸編みと言うのは、円形状の編み機で織り上げた生地、製品は肌着やカットソー、Tシャツ類。横編みは平面で左右動く機械で糸を使って編み上げる、製品はセーターやカーディガン類。丸編みは長糸しか使えないため、価値があり値段が高いです。反対に横編みは短糸や再生糸利用もできますので、例えセーターはカットソーより重量が倍ぐらいあっても、値段がそんなに変わらない理由です。

  丸編みシルクニットはグラム(gm)で価値を評価されてます、良く使われているのは80g/1㎡~160g/1㎡、グラム数値が大きいければ(重い)シルクを良く使うため、値段が高い。グラム少ないと生地が薄い、透ける為、肌着、インナー、下着に使われています。肌着、インナー使う生地のグラムは80g~100g/㎡。カットソー、Tシャツ使う生地のグラムは110g~160g/㎡。

※a布帛はあまり伸縮性がない生地。

匁(モンメ)とは

シルクなどの厚みを表す時に使われる匁。普段あまり聞き慣れない匁(モンメ)という言葉にはどんな意味があるのでしょうか?

東南アジアで古くから使われる重さの単位で1匁=3.75gとされています。
シルクで匁を用いる場合は約93cm四方の生地の重さを表します。
数が大きくなればなるほど目が詰まっている・あるいは厚い逆に数が小さい程目が粗くあるいは薄いと言えます。

例:
12匁のシルク生地(93cm四方)の重さ=3.75×12=45(g)